ミクロの百日間戦争

ミクロマンやそれにマッチする小物類のレビューなどをつらつらと…

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アカツキの事件簿・2

ハックとオルガ


*前回のストーリーはコチラとなります。

M.I.C.Rアジア支部・中央管理局。その廊下を歩くハックの背後に小さな足音が近づいてくる。そして近づいてきた足音の主が自分の名を呼んだところで彼は足を止めて振り返った。

「ハックさん…」

「オルガ…どうしたんだい、そんなに慌てて。何かあったのかい?」

ハックに声を掛けてきた相手…ミクロシスターのオルガは、いつもならば大人しく、冷静沈着と言える性格だ。そんな彼女が今、言うなれば血相を変えたような様子でやってきた事に、ハックは驚きを隠せないでいた。

「あ、あの……ハックさん…。実は…」

「うん…?」

「お願いが…あるんです…」

アカツキと基地司令


「全くもってたるんでるっ! 如何に非番状態であったとはいえ、みすみすテロリストを取り逃がすどころか、その当人と共に酒盛りをするとは何事かっ!」

アジア地区で最も治安が悪いと言われるミクロ居住区・シャングリラ。そこの治安維持の為に日夜戦う俺達が集うM.I.C.R基地。そこの司令室に呼び出された俺は、勢い良く飛び出す基地司令の罵声を前に、跋が悪そうに頭を掻きながら苦笑いを浮かべていた。

事の起こりは非番であった昨日の夜。俺は立ち寄ったバーで一人のミクロレディと知り合い酒を酌み交わしたのだが、まさかその相手が指名手配されているアクロイヤーであったとは露とも知らず、翌日…その事が露見してこうして大目玉を喰らっているという訳だった。

「いやぁ、そん時は既に酒を呑んでたって事もありましてね。手配書にはちゃんと目を通してるんですけど泥酔の為に気がつかず…いや、全く持って申し訳無いです」

「キ、キサマっ!!」

モルト・ヴォーノ


「よっ、ナディ。おはよう。俺にもコーヒー一杯頼む」

「アカツキさん、おはよう御座います。ちょっと待っててくださいね」

司令室に呼ばれてから数十分後、俺は少し疲れた顔をしつつ行き付けの喫茶店「モルト・ヴォーノ」に顔を出していた。先に来ていたアレンさんが俺の顔を見ると僅かに口の端を歪めて苦笑している。

「その調子だと大分搾られたようだな…」

「全く参りましたよ…。基地司令、もうカンカンで。そりゃまぁアクロイヤーを見逃して、挙句に酒盛りしちまったんですから言い訳出来ないですけど…出会った時点で酒呑んで酔っ払ってましたし…」

「プロは如何なる時であろうともプロでなくては駄目という事だ…。とは言え、司令がそこまで怒ったのは時期的なものもあるだろうな」

そう言うとアレンさんは傍らのマガジンラックにあった新聞を抜き取るとテーブルの上に広げた。そこに載っていた白黒の写真を見れば、アレンさんの言う意味も判り、思わず俺は肩を竦める。

市長と基地司令


「新しい市長…。就任後の基地訪問でシャングリラの治安回復の為にだいぶハッパ掛けてましたもんねぇ。この街の治安向上は市長の公約の一つですし、基地司令としても成果をあげないと拙いんでカリカリしてたってワケですか」

「実際に治安向上の為に特別な予算枠を組む事も市長は約束してくれている。現場の人間としてもウカウカしてはいられないな」

「そうっすね。やるならこの機に『キリエ』の連中をこの街から追い出すくらいにやりたいですよ」

「…気持ちは判らなくも無いが、そう焦るな。まずはその『キリエ』に接触するかもしれない、例のアクロレディを…」

ピーピー。

突如互いの胸元から小さな電子音が響いて話を中断させる。俺達は互いに顔を見合わせると直ぐに胸元に手を差し込むと通信機を取り出した。そしてM.I.C.R基地をコールすると直ぐに警備セクションで働くミクロレディ・ミコトの声が通信機から聞こえてくる。

「商業エリア・A-17ストリートで発砲事件発生。付近を巡回中のミリタリーフォース・ポリスが現場へと向かいましたが、ミッションフォースの二人も至急現場へと急行してください」

「こちらアレン、了解した。アカツキと共に現場に向かう。いくぞ、アカツキ」

「了解っ!」

慌しく通信を終えると、席を立ったアレンさんと共に急ぎ足で戸口に向かう。そんな俺達を見て、コーヒーを運んできたナディが目を丸くさせながら見送っている。

「あっ、アカツキさん。コーヒー…」

「わりぃ、ナディ。また今度なっ」

現場到着


猛スピードでシャングリラの中をアレンさんが駆るロードスターが駆け抜けていくと、5分も経たぬ内に現場付近に到着。そこにM.I.C.Rの装甲車を発見して車を止める。そして建物の陰に身を寄せているミリタリーフォース・ポリス…通称ミリフォ・ポリスに駆け寄っていった。

「…現状は?」

「あっ、ご苦労様です。相手は一名…錯乱状態なのか、こちらの呼び掛けにも応じずに発砲を繰り返しています。幸いミクロヒューマノイドの被害者は出ずに避難させたのですが、ドロイドが数体発砲に巻き込まれて損傷してしまっています」

アレンさんの問いにミリフォ・ポリスが答えた内容を聞くと、俺は背中からミクロ・ドラグーンを抜くとこっそりと建物の陰から通りを伺った。

街中の凶行


「あ~あ、なんだアリャ。ヤク中か? トリガーに指掛けてブラブラとさせちまって…危なっかしいたらありゃしないな。…にしてもどこからあんなゴツイものを…」

通りには赤い上着を着たミリフォが一人、落ち着かない様子で辺りに銃口を向けていた。その様子は明らかに常軌を逸しているようで、速やかに対処する必要があるようだ。しかし厄介なのはヤツが手にしている銃。あれはオート射撃も可能な軍用のマシンハンドガンで、おいそれと出回るようなシロモノでは無い筈なんだが…。

「シャングリラの闇は、全て『キリエ』に繋がる…。この街でヤクにしろ銃にしろ、連中に話を通さずに捌くのは難しいな。ならばあの銃の出所も…」

「…とっ捕まえて、その辺の事情も詳しく聞くとしましょうか」

珍しく銃を抜いて握るアレンさんと顔を見合わせて頷くと、前に出るアレンさんと位置を交代して指示を待つ。アレンさんは物陰に隠れて路上の犯人の様子を伺いながら、顔はそのままに指示を出した。

「ヤツの気をこちらに惹き付ける。アカツキはその間に建物の裏手からヤツの後ろに回れ。隙をついて一気にいくぞ」

「ウィッス!」

撃ち合い


アレンさんの指示を聞いて俺が走り出すと同時に、背後で複数の発砲音が鳴り響く。犯人の気を引く為にアレンさん達が打ち合いを始めた音だ。そして打ち合いの中、時折犯人のものとおぼしき意味不明な叫び声のようなものも耳に届く。俺はそれを頼りに犯人の位置を確認しながら、建物の裏手の路地を駆け抜けていった。

シューティング


「…ヘイッ!」

素早く、そして気配を隠しながら。物陰に隠れて打ち合うアレンさん達に犯人が気を取られた隙を使って俺は建物の裏手を迂回すると、息を整えて通りに出ると犯人の背中に声を飛ばした。

その声を聞いて犯人がこちらに銃口を向けようとするが、俺にとってその動きはスローモーションに見える程に遅い。俺はヤツの動きに合わせて銃口を僅かに修正してトリガーを引くと、爆ぜるような音と共に光線が飛び出してヤツの左の肩に吸い込まれていく。

確保


「ンガァッ!」

苦悶の声と共に銃を落とす犯人。痛みに蹲る犯人を見据えながら、俺は銃口を向けつつ慎重に犯人に近づいていった。どうやら犯人は戦意を喪失したようで、大人しく下を向いて俯いている。俺はその様子に口の端を歪めて苦笑いをしながら犯人に向けて口を開く。

「手間を掛けさせてくれたがここまでだ。発砲に器物破損、公務執行妨害etc…色々ひっくるめてお前を逮捕するぜ」

向こうからはアレンさんとミリフォ・ポリスも駆けつけてくれる。俺はその二人に合図するようにほんの一瞬だけ目を離して小さく頷いた。…結果それが俺の致命的なミスとなった。

止まらぬ凶行


「なっ!」

目を離した僅かに隙をついて弾かれたように突如ヤツは立ち上がる。そのまま傍らに在った電柱に手を伸ばすと、信じられない程の(しかも先程左肩を撃たれているにも関わらず)膂力を発揮してコンクリート部分から嫌な悲鳴を立てさせながら一気に引き抜いて頭上に翳したのだ。

「ちっ、しまった!」

「アカツキ、下がれっ」

己の失態に思わず声を荒げる俺とアレンさんの合間で、二度三度と俺達を蹴散らすように電柱を頭上で振り回す犯人。それに対して俺は後ろに下がって間合いを広げると警告の意味を込めて一発相手の足元に叩き込んだ。しかしヤツは一向に怯む事無く、勢いをつけた電柱を俺目掛けて振り落とそうとしていた。

止むを得ず…


ズキューンッ………。

銃声と共にヤツの胸元を貫く光線。そしてグラリと揺れるようにして手にした電柱を落とすと、ヤツが仰向けに倒れた。咄嗟に制止する為だったとはいえ、俺は容赦無い一撃をヤツに与えてしまった事を苦々しい表情で受け止めていた。

「…大丈夫か、アカツキ」

「すんません…俺のミスです…」

駆けつけてきたアレンさんの声に申し訳無さそうに言葉を返して項垂れる俺。アレンさんはミリフォ・ポリスに救急車を急行させるように指示を出すと、ぽんと軽く励ますように俺の肩を叩いてから倒れたヤツの傍らへと屈み込んだ。

ドラッグ


アレンさんは倒れた犯人の胸元に手を入れると、ヤツの所持品を探り出す。そして何かを見つけて取り出すと、その目付きを厳しくさせながら手にしたものを見詰めて呟いた。

「…アクロソーマ、か」

アレンさんの呟きを聞いて俺も顔を険しくさせながらその手元にある薬を凝視した。アクロソーマ…強い高揚感と共に使用者に幻覚を見せ、時には摂取した者に超常的とも言える力を与える禁断の薬。その成分の中にはミクロ生命体の身を蝕むアクロウィルスが含まれており、一説によると古代アクロイヤーによって齎されたとも言われている。ドラッグの中でも特に有害な物として知られる危険なやつだ。

「タチの悪い薬が出回り出したな…早急に、食い止めなければ…」

指示


その日の夜…暗闇の室内で一人の男が電話を受ける。電話先の声にじっくりと傾けた後、暫しの間の後に低く唸るような声で言葉を発した。

「……あの薬は今後の『計画』の為に必要なものであるとは判っているな? ならば今アレに目をつけられるのは拙いのは判っておろう。不始末を仕出かした者含めて…対処は、お前達に任せる…」

短く『指示』だけを伝えて男は電話を切ると、窓際に近づいてシャングリラの街並みを見下ろした。眼下に広がる煌々と輝くシャングリラの街並み。男の視線はその光によって出来る『陰』へとじっと注がれていた。

上陸


そして同日夜半、シャングリラの港湾エリアの倉庫街に蠢く黒い巨大な影があった。それは新たな事件の予兆を告げる死の来訪者であった…。

{続}

という事で本日は不定期連載の「アカツキの事件簿」の2話目です。第一話が去年の12月ですから半年ぶり…間隔空き過ぎですね(汗) 月日の過ぎるのって早い…。

しかし次回は早いです(笑) 間違い無く今月中…早ければ来週にもアップしますっ。その分、ちょっと話としては短いのですが、実はコラボ企画だったりしまして…○○○○からシャングリラに助っ人が登場します! お楽しみにっ。
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フォトストーリー | コメント:2 | トラックバック:0 |
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この記事のコメント

白昼の攻防、凄く雰囲気出てますね!ドラマも勿論ですが、背景のショーウィンドーにも眼を奪われます(笑)。ストーリーも核になりそうな麻薬や怪しすぎの市長が動き始めて、いよいよ、って感じですね。
そして犯人の背中の「ソーラン」も気になります(笑)。
ポチ!
2008-06-14 Sat 00:47 | URL | misodrill #-[ 編集]
>misodrillさん

拍手、有難う御座いますー。

今回はアクションシーンとなるように撮影してみたのですが、雰囲気が伝われば何よりです。背景のショーウインドウは…旅行道具とか売ってる店かな?(笑

怪しげな市長の暗躍と、動き出した敵の組織の陰謀…あまり間を置かずにストーリーを書いていけたらと思ってます。犯人の背中は気にしない方向でw
2008-06-15 Sun 06:00 | URL | ビンテージ #3fSe.YNE[ 編集]

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