ミクロの百日間戦争

ミクロマンやそれにマッチする小物類のレビューなどをつらつらと…

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スポンサー広告 |

アカツキの事件簿「紅の疾風」前編

アカツキの事件簿

*前回の話はコチラとなります。

ここはどことも知れぬ闇の底…シャングリラの夜の闇を支配する犯罪組織『キリエ』の中核であり、幹部のみが立ち入る事が許された聖域。その聖域に金と銀の光を放つ一対の存在があった。かの世紀の大泥棒のミクロクローンである『L3』と、その相棒『F2』の二人である…。

「それにしても先日の一件…貴方の思い描いていた通りの結果になったわね、L3。ホタルミでの作戦の不手際でチョースケは失脚。この街での今後の作戦行動の指揮を私達が取れるようになったわ。そしてこちらの思惑通りには動かないであろうXANINの破壊活動によってシャングリラは『程好く』痛めつけられ…たたでさえ治安に不安を抱いているこの街の連中はその救いを求めて何かに縋りつきたくなり、アクロソーマが浸透する下地が整った。見事に計算通りね」

闇の底にて銀の体を光らせるF2がさも愉快そうに快活な笑い声をあげる。しかしその行動はあくまでミクロ生命体の模倣であり、感情というものを持たぬ彼女の心中は高揚など一切していない。あくまで冷静に現状を分析しているだけである。そしてその言葉を聞くL3もまた、本来感情などとは無縁の存在。だがその顔には微かに苦々しげな表情が浮かんでおり、F2とは違った結論に辿り着いた事を口にする。

「さて、そいつはどうかな。確かにおおよそは計算通りだったがそれでも幾つかの計算違いが生じてるぜ。まずホタルミの件…チョースケの失敗は確かに狙った通り。どれほどの化け物であろうともそれ単体でホタルミの中核であるユニオンフレックスを攻略するのは困難。予想していたより被害の規模は大分小さかったが、それでも結果自体は予想の範疇だ」

「そうでしょ? なら計算違いなんて…」

「問題はシズナによるジュノー司政官暗殺の失敗だ。ボスの懐刀であるアイツの幻術は例えマスターフォースクラスのミクロマンであろうとも、一度術中にハマれば打ち破る事は不可能な程…ジュノーの張る『絶対障壁』にとっても天敵と呼べる代物だ。唯一アイツの幻を打ち勝てるとすれば、マグネフォース達機械生命体の連中だが…体術にも秀でたシズナがそこいらの連中に遅れを取る事はまず無い。計画では命を奪うまでには到らずともジュノーを重体に追い込み、その執政を一時的に停止させる状況にまで追い込む筈だった。だが、それが失敗に終わった」

そう…ジュノーの危機に、それを覆す事が出来る存在が現れた事…それが計算違いの一つであった。幻術に強い耐性を持つマグネフォースであり、シズナとも渡り合える程の実力の持ち主。そのような存在が都合良くあの場に現れるなど誰が予想しえたであろう? 確かに条件を満たす存在がユニオンプレックスの中で休眠状態となっている情報は確認してあった。だが、その休眠があの状況で解かれるとは…それがL3の計算を狂わせ、ジュノー暗殺を防いでしまったのだ。そして計算違いの事態はもう一つ起きていた。

「もう一つは、あのミッションフォースの刑事が死ななかった事だ。AT-TEが暴れた程度じゃあの連中は殺れはしねぇ…。XANINが差し向けたアクロボネスもどこまで使い物になるか当てにならないレベルだ。だが骸忍スコールの影武者は違う…。首領であり、前に立って戦う事を好むスコールの影を務めるんだ。生半可な実力では影など務める事は出来ない。もし遭遇したのであればミッションフォースの一人や二人、あの場で命を散らしている筈だった。だが…その刑事はその影すら打ち破った。アクロシルビアの狙撃をも生き残り、そいつはいつも計算違いに生き残ってやがる。俺様はそれが気にくわねぇな」

今のうちはまだいい…小さなイレギュラーだ。だが二度も計算を覆されている事がL3にとって不気味に感じられた。しかしその傍らに侍るF2は寧ろ愉快そうに言葉を返す。

「フフ…貴方がそこまで気に掛けるなんて意外ね。けれどそこまで厄介ならやるべき事は簡単じゃない。これ以上計算違いが起きないようにイレギュラーの芽を潰す。そうでしょう?」

「それが出来れば苦労はしないぜ。何せソイツはアクロシルビアの狙撃すら避けてみせたんだ。暗殺するのは難しいな」

アカツキの事件簿3

「貴方はどう、ネイビーゴースト。そのアカツキって刑事、始末してみる?」

「……………」

F2はその場に佇むもう一つの影―冥き外套に身を包み、手にしたライフルで組織の敵を始末する蒼い死神―ネイビーゴーストへと声を掛ける。だがネイビーゴーストは静かに黙したままでF2の問い掛けにも答えようとはしない。そんな彼の態度に呆れたような様子でF2は溜息を吐く。

「全く。何を考えているのかしらね、彼は」

「さぁ~てね。そいつは俺様にもわからねぇぜ」

ネイビーゴーストは、その出自・経歴などが他の幹部には一切知らされていない異質な存在であった。様々な場所で活動していた現在の幹部連中は自らの居場所を求めてキリエに辿り付いたものが殆どなのだが、彼のみはボス直々に声を掛けて組織に参入したとも言われている。噂によればボスの愛人であるレディ・ラフレシアの口利きがあったからとも言われているが…。

飄々とした口調ながらも蒼い影の背中に警戒した眼差しを向けるL3。その横で肩を竦める仕草をしたF2は徐に立ち上がった。そして彼に背を向けて歩き出すと、ネイビーゴーストの傍らにまで歩んで振り返る。

アカツキの事件簿4

「いいわ。貴方達二人がやらないというのならアタシがやってみせる」

「おいおい。あんまり無茶するもんじゃないぜ?」

「大丈夫よ。まずはご挨拶から始めて、ゆっくりとお相手して貰う事にするわ。暫くその刑事はアタシに任しておいてちょうだい」

「…………」

唯一の同胞ともいえるF2の身を案じた言葉を掛けるL3と、やはりただ黙ったまま視線を送るネイビーゴースト。見送る金と蒼の影に肩越しで応えたF2はそのまま闇の底を後にする。地上へと向かうその心中には人間で言えば喜びに近い感情が浮かび上がっていた。

(フフ、アクロシルビアもスコールの影武者をも退けた男なら…私を満足させてくれるかしら?)

アカツキの事件簿5

XANINが起こしたAT-TE暴走事件から一ヶ月…街は漸く落ち着きを取り戻しつつあった。深刻なダメージを負って治安が低下してしまったシャングリラでは犯罪者達が活発に動き始め(このタイミングでの行動には当然キリエが裏で糸を引いているものと思われる)、ここ暫くは出撃のサイレンが聞けなかった日は無い程であった。その為俺も疲労がかなり溜まっており、夜勤明けの基地を後にしながら思わず愚痴を零していた。

「やれやれ…ここ一ヶ月間、ほぼ出ずっぱりでしたねぇ。どいつもこいつもここぞとばかりに騒ぎを起こしやがるから、体がもたないかと思いましたよ」

「…ああ。だが漸くそれも落ち着いてきたようだな。現場の捜査員のみならずバックアップのスタッフも含めて皆疲労が蓄積してきている…ここいらで体勢を立て直さない事にはこの先が厳しいな」

顔には出さないがアレンさんも相当疲労している筈。だがそんな疲労の色を微塵にも見せないアレンさんの態度に思わず頬を掻いて反省しながら、俺も今後の事について目を向けることにする。

「ミサリー、ディートンの二人がやってきてくれたんで多少はマシにはなりましたけど、やっぱ人員不足は否めないっすね。こっちの戦力強化以上に犯罪者連中の戦力増強の方が早いくらいですから」

「うむ…。キリエ単独もさる事ながら、先日の一件のように犯罪組織の結託というケースも見られるようになった。こちらもホタルミのミクロポリスなど関連組織との連絡・連携は密にしているが…これからの治安維持はより舵取りが難しくなってきたと言えるな」

「はぁ~、全く厄介なもんだ」

アカツキの事件簿6

「…先々に対する懸念は一つ一つ解決していくしかなかろう。それよりも今はきちんと休息を取って鋭気を養う事だ。明日からもまた激務が待っている事だしな」

「そっすね~。そんじゃアレンさん、お疲れさまでした」

「ああ、お疲れ…寄り道せずに真っ直ぐに帰れよ」

「へ~い、了解です。んじゃまた明日~」

アカツキの事件簿

アレンさんとミクロポリスステーションの前で別れた俺は、愛車を駆ると街を走り始める。ちょっと気晴らしにこのままドライブに出かけたい気分でもあるが、流石に連日の激務で体が重く感じる。こんな日はさっさと帰って寝るに限ると、真っ直ぐ家路を辿る事にした。

見慣れた街並みが視界を流れてゆくのを眺めながら、俺はぼんやりとこれまでの事を振り返る。アクロソーマの蔓延、港でのパワードスーツによる暴動とアクロシルビアの狙撃、AT-TE強奪事件にホタルミによるキリエのユニオンフレックス襲撃。様々な事が立て続けに起き、そのどれもが頭の痛い事だったが、その中でも俺が特に気掛かりに思っていたのはアクロシズナによるホタルミ司政官ジュノー様の暗殺未遂であった。

アカツキの事件簿2

アクロシズナはかつては俺達ミッションフォースのメンバーの一人であり、シャングリラ基地の仲間であるミコトと、俺達が行きつけにする喫茶店『モルト・ヴォーノ』を切り盛りするナディとは姉妹として育てられたミクロレディであった。だが不幸にしてアクロイヤーとの戦闘中に彼女はウィルスに犯されてしまい、俺達にとっては最悪の敵となってしまった。かつての仲間を標的として追わなくてはいけない…その事はメンバー全員――中でもミコトとはステディな関係であったテンマには特に――重苦しい出来事として今も圧し掛かっている。

(そのシズナがジュノー様暗殺とはな…やってくれるぜ。シズナがキリエに加わってるんじゃないかってのは前から予想はされたが、こうなってくるとアクロイヤーになっちまった原因そのものもキリエの連中の仕業なんじゃねぇかと思えてくるな…)

アカツキの事件簿4

そんな風にシズナの事に関して取りとめもなく浮かんでくる考えを頭の中で纏めながら走っていたので、俺は後ろであがった小さな悲鳴には気付いていなかった。それは急発進した車に巻き込まされそうになった男があげたものだった。

アカツキの事件簿7

(ま、アレンさんの言う通り、何もかも一つ一つ解決していくしかないよな。差し当たっては最近また勢いを増して出回り始めたアクロソーマの売人達の徹底追跡か。よし、やるぞっ)

明日からの仕事を思い浮かべながら、一人気合を入れ直す俺。その俺の背中にゆっくりと銀の魔女が忍び寄ってきていた…。


また随分と間が空いてしまいましたが、久しぶりのアカツキの事件簿本編で御座います。そんな久しぶりの話の割に今回はアカツキのモノローグで殆ど終わってしまいましたが(汗) 

次回は二話目の冒頭以降すっかり出番を失ったままの本家ミクロがストーリーに絡んでくる予定です。一応これは当初かの予定通りで、これで一通りのメインキャストが出場する形になります。次回・次々回と撮影は終了してますので何とか今月中には続きをアップしたいですね。頑張りまーす;

本日はアカツキの事件簿「紅の疾風」前編でした。
スポンサーサイト
フォトストーリー | コメント:5 | トラックバック:0 |
<<キャットウーマン | HOME | ザ・マスター(ミクロマン・エリック)>>

この記事のコメント

ついに始まりましたね!こちらへのフォローも入れていただきありがとうございます!ネイビーゴースト渋いスなぁ~。
アカツキ君はまた女難の予感ですね(笑)。
ストーリーも勿論ですが、背景も相変わらず凝ってて素敵です!バックにさりげなく出ているミクロナイトやハンネちゃんが芸コマ!
2009-05-14 Thu 14:17 | URL | misodrill #-[ 編集]
車がスッと後をつけてくるまでの演出が非常にカッコイイですネ!
自分も4コマ漫画を始めたんですが、レイアウトや話の展開等を考えるのが大変だということに改めて気がつきました。
シーン構成等を、実物の素材(ミクロマン等)で作成されていることを考えると、スゴイと思います。
2009-05-17 Sun 01:57 | URL | maruo #no8j9Kzg[ 編集]
>misodillさん
拍手有難う御座いますー。アカツキに女難は付き物ですね(笑) おっ、ハンネに気がつかれましたねw 雲梯に使ってるのは工事現場の足場ですw

>maruoさん
4コマとか本当難しいですよねぇ。お話の構成やアングルとか、いつも頭うんうん唸らせてます; 
2009-05-18 Mon 17:36 | URL | ビンテージ #3fSe.YNE[ 編集]
「*前回の話はコチラとなります」

4月14日の「宝石泥棒」の話かあ、と素で思ってしまいました(笑)。
夜勤明けに「寄り道せずに真っ直ぐに帰れよ」と注意されるアカツキって、どんな生活してるんだ(笑)。
真っ直ぐに帰れない、女難のアカツキにポチッ!
2009-05-24 Sun 04:39 | URL | 永亭 #0W.95UrI[ 編集]
>永亭さん
拍手、有難う御座いますー。アカツキ、若いだけに夜勤明けでも真っ直ぐ帰らずに遊んでる事もあるようですw そんなだから女難に合うんですね…(笑
2009-05-24 Sun 20:09 | URL | ビンテージ #3fSe.YNE[ 編集]

コメントの投稿















コメント非公開の場合はチェック

この記事のトラックバック

| HOME |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。