ミクロの百日間戦争

ミクロマンやそれにマッチする小物類のレビューなどをつらつらと…

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アカツキの事件簿「死の旋律」1

アカツキの事件簿「至の旋律」

前回はコチラから。

夜勤明けの帰宅時。バイクを駆って家路を辿るアカツキをキリエの幹部F2が襲撃する。窮地に陥ったアカツキであったが、そこに現れて彼を助けたのは赤いテックスキンに身を包んだサイボーグのミクロレディであった…。

アカツキの事件簿「至の旋律」2

「急な事だが中央管理局からの派遣で、我々ミッションフォースに新たなメンバーが加わる事になった。…自己紹介を頼む」

「オルガです。ここに配属されるまではミクロマン救助機構で活動していました。皆さん、宜しくお願い致します」

キリエの幹部を名乗るミクロレディ、F2に襲われたその翌日。窮地から俺を救ってくれたオルガが赴任の挨拶をしていた。今回の配属についてはアレンさんも全く知らなかったようで、今この場が初顔合わせのようだ。

「治安の悪化がより懸念される今の状況では人員の増加は望むところだな。経歴から見て実戦の経験は充分のようだな。即戦力として活躍してくれる事を期待する。皆も宜しくやってくれ」

「了解っす」「はいですぅ」「わかったトンっ」

それぞれが返事をするのを見届けて頷くとアレンさんは通常任務に戻る為に場を後にする。入れ替わりに俺は彼女に近づくと昨日の礼を口にした。

アカツキの事件簿「至の旋律」3

「昨日は本当危ないところを助けて貰って感謝してる。有難うな」

「いえ、昨日あの場に遭遇したのは偶然に等しいです。たまたまアカツキさんの帰宅ルートと私がここへと来るルートが一緒だったからに過ぎません」

「ま、その偶然のお陰で命拾いしたから助かったよ。兎に角これから宜しく頼むぜ」

「はい、宜しくお願い致します」

「ところで…一つ聞いていいか?」

「ミクロシスターである私がどうしてこのような姿をしているか、ですか?」

こちらの疑問を予想していたように先回りした言葉が彼女の口から帰ってくる。その言葉は図星であったので少し面食らいながらも俺は素直に頷いた。

「今後犯罪組織『キリエ』と渡り合う為には少女の姿では力不足であると判断したからです。幸いミクロマン救助機構で様々な経験を積んだ事で私の精神成熟度はミクロレディに成長しても十分だと判断されました。その為、成長促進処理を受けてこの姿となったのです」

前もって用意していたかのようにスラスラと彼女の口から答えが得られる。だが冷静なその言葉の裏腹に俺は若干の頑なさを感じ取った気がする。状況を飲み込めた事を納得するように頷きながら、俺は更に問い掛けしようと口を開きかける。だがそれよりも先に彼女が再び口を開いた。

「すみません。配属にあたっての事務手続きが残っていますので戻っても宜しいでしょうか?」

「あ、ああ。何かわかんねー事あったら聞いてくれ」

「はい。それでは失礼致します」

アカツキの事件簿「至の旋律」4

ミッションフォースのオフィスを後にして廊下を進むオルガの心中は若干落ち着きを失っていた。ぶつけられて当然の質問でありそれに冷静に答えたつもりではあったが、胸の中がざわついてしまったのを自覚してしまったのだ。

覚悟を決めて望んだ筈の成長促進処理なのに、今もこうして動揺してしまう自分を恨めしく思いながら、オルガの記憶は成長促進カプセルに入ったその日へと飛んでいた…。







アカツキの事件簿「至の旋律」5

「どうしてさっ! なんでオルガ一人だけ成長しようって言うの! それもアタシたちに何の相談も無く…。ねぇ、お願いだから考え直そうよ。せめてエルやシオンとも相談してから決めたって遅くはないじゃない」

クールを気取りつつその実は仲間想いの熱情的なランが、大切な仲間が決めた突然の決断に大声で異を唱える。その後ろでは成長促進処理を行う準備を整えながらハックが二人のやり取りを黙ったまま見詰めていた。

ミクロマンは基本的に生まれたままの姿で一生を過ごす事になり、特別な成長処理を行わない限りは少女の姿のものは一生少女のままという事になる。ミクロマンの人権確立以後はその点について疑問を投げ掛ける声も少なくなく、現在では本人の強い希望があればこうした成長促進処理を受けられるようになっていた。そしてミクロシスター・オルガは強い決意のもとにこの処理を受ける事を申請したのである。

「申し訳ありませんがこれはチームの事ではなく、私個人の問題ですから自分で決めさせていただきました。ミクロマン救助機構に欠員を作ってしまう事については本当に申し訳無く思っています。その事についてはカプセルから出た後でエルさんやシオンさんにも謝罪するつもりです。後任についてはハヤテさん達にもお願いしてきちんとして貰いますから…」

「そんな事を心配してるんじゃないよっ!!」

激昂したランがカプセルの縁に強く拳を叩き付ける。思わず目を丸くしながら向けられたオルガの視線の先で、ランは叩き付けた拳を震わせていた。

「オルガ個人の問題ってなにさっ! アタシはそれを相談してくれって言ってるんだよっ。オルガがしたい事があるんならアタシだって手伝うよ。全部自分で決めて、全部一人で背負い込まなくてってもいいじゃんかっ! アタシは……オルガの事、友達だって思ってるんだから…」

「…………」

「……どうする、オルガちゃん? まだ処理は辞められるよ。一度成長促進処理を行えば元に戻るというのは不可能になる。僕ももう少しじっくりと考えてから決めるのでも遅くないと思うな」

それまで口を挟まなかったハックがオルガの意思を確認する。ランの言葉に暫し項垂れていたオルガだが、それでも迷う事無く答えを返した。

「……いえ。予定通り行ってください」

「オルガっ!」

「すみません、ランさん。何と言われようと決断を変えるつもりはありません。今までの事は感謝しています…。申し訳ありませんが、お引取りください」

「………。オルガの馬鹿っ!!」

ランから視線を逸らしながら退室を求めるオルガ。絶句したように言葉を失ったランは、感情を大きく爆発させるとその場から走り去っていく。遠ざかる背中を見詰めながらオルガは胸中で彼女への謝罪の言葉を繰り返していた。

アカツキの事件簿「至の旋律」6

(ごめんなさい、ランさん…。けれども私は、私のような存在を造り続けて罪を重ねさせていくキリエを見過ごす事は出来ない…。これ以上私の『妹』達に罪を犯させない為にも、彼らと戦わなくてはいけません。その為には今までのような少女の体ではいられないのです…)

アカツキの事件簿「死の旋律」7

「……………」







アカツキの事件簿「至の旋律」8

「それじゃあアイリーンさんも、今回の配属については全く聞かされて無かったんすか」

その日の午後。忙しい仕事の合間を縫って俺はアイリーンさんを昼飯に誘うのに成功すると、基地近くにある喫茶店…ミクロレディ・ナディが営む「モルト・ヴォーノ」へ向かって歩いていた。その最中話題に出たのが新しくシャングリラに配属となったオルガの事。彼女の配属は中央管理局に強いパイプを持つアイリーンさんですら掴めていない人事であったらしい。

「はい。マリエッタさんにも問い合わせてみたのですが本人の強い要望もあっての急な転属だったようです。ミクロシスターによる救助機構はM.I..C.Rにとっては広報として重要なポジションを占めていただけに、彼女から申し出があった際には内々で強い遺留を求めていたようですね。その事でどうやら人事が表沙汰になったのが遅れたようです」

「なるほど。…今回の配属は本人の強い要望だったんですね」

アイリーンさんの説明を聞いて大人になった理由を頑なに説明するオルガの姿が脳裏に浮かぶ。どうやらただの補充要員とはいうワケではなく、彼女なりの並々ならぬ決意があっての事のようだ。そしてその理由が『キリエ』にあるのは間違い無い。何故ならかつて犯罪組織に身を置いていた彼女にとって『キリエ』は古巣に他ならないからだ。

「W0WOW~♪ 君の向ける熱い眼差しがぁ~♪ 僕のハートに突き刺さるぅぅ~♪」

会話が途切れたまま馴染みの喫茶店へと歩いていく途中、ふと耳にギターの音と調子っ外れした歌声が飛び込んでくる。オルガの事に頭がいっていた俺は思わずガクリと肩を落としながらアイリーンさんと顔を見合わせる。

「弾き語りでしょうか。こんなところでは珍しいですね」

「弾き語りが珍しいっていうか…それ以前にあんなド下手な弾き語りが居るのが珍しいというか…」

アカツキの事件簿「至の旋律」9

足を進めたその先には店先で座り込み、ギターを掻き鳴らす男の姿があった。慣らすギターの腕前は悪くないんだが、口ずさむ歌がそのメロディーを全てぶち壊しており、道行く人々は眉を顰めながら足を止める事無くその前を通り過ぎていく。

俺も苦笑いを浮かべつつその場を通り過ぎようとしたのだが、何を思ったのかアイリーンさんがその男へと近づいていくのでつられて追いていく形になった。

アカツキの事件簿「至の旋律」10

「よう、ご両人。聞いていってくれるのかい? 今なら特別大サービスで二人の為だけのオリジナル曲をご披露出来るぜ。『ケンイチ・ヨーコ、愛のテーマ』なんてのはどうだ?」

「いや、俺ケンイチなんて名前じゃねーし」

肩を竦めつつノーサンキューを伝えた俺の横で、アイリーンさんはちらちらと男の後ろを気にしながら話し掛ける。

「あの、こちらでの演奏の許可をお店の方から得られたでしょうか? 先程からこちらの様子を伺われているようなのですが…」

言われて俺と男が店の方に目を向けると、店の中から窓越しに店主が物凄い形相でこちらを睨んでいた。男の歌声のせいで道行く人達が足早にここを通り過ぎてしまったら当然客も入ってこない。昼飯時のこの時間だというのに営業妨害もいいとこだろう。

アカツキの事件簿「至の旋律」11

店主に向かって誤魔化し笑いを浮かべた男はそそくさと立ち上がる。そしてバツの悪そうな苦笑いをこちらに向けるとギターを掛け直した。

「仕方ない。場所変えるとするかぁ。ここらで弾き語りしても文句が出ないとこってあるかい?」

「駅前なんかはパフォーマーの連中も多いかな。ま、あんまり大きな音立てるのだとどこでも迷惑にはなっちまうだろうけど」

それがド下手な弾き語りだと尚更…と思わず口に仕掛けたが賢明にそれは黙っておく事にする。男は聞きたい事を聞けると軽く礼を言うように手をあげると俺達に背を向けて駅の方へと歩き出した。

「そうかい、有難うよ。良ければまた聞きに来てくれ」

「ああ、機会があったらな」

そういって立ち去る男の背中を何気なく見送る俺とアイリーンさん。この後、いつもの『モルト・ヴォーノ』ではなく営業妨害に泣いたその店で、先程の男の弾き語りを話のネタにしながら昼食を取る事にした。その時俺はその内にまたあの男と出会う事になるだろうと漠然と予感していた。駅前で下手な弾き語りをしているだろうあの男に。

どざえもん…


しかし、その男と俺の再会はそんな平和的な物では無かった。その夜、シャングリラの埠頭に一人のホトケが浮かぶ。そのホトケこそが俺とあの男を再び引き合わせる切っ掛けとなるのであった……。

{続}

本日はアカツキの事件簿の新章…といっても前回がプロローグ的な部分だったので漸く本編に入った感じですが「死の旋律」第一話です。

今回ショウマが登場しましたが、元々ショウマは現在休止中のアナザーストーリーの主役に据えるつもりでいて、その後アカツキの事件簿と二つの話を一本化させるつもりでした。現在のとこ二本進めるのは無理なのでアカツキの事件簿に登場させる事と致しました。アナザーストーリーはアカツキの事件簿が終わった後にでも書ければ…(汗

本日はアカツキの事件簿「死の旋律」1でした。
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この記事のコメント

オルガに続いてショウマ君も登場ですね!
私この辺の末期のミクロは設定とか又聞きでしか知らないんですよね、実は。当時、クアント自体が近所の本屋から姿消しちゃってたので(苦笑)。
埠頭にホトケが浮かぶというのも、如何にも仕事人チックな導入部ですね。続き楽しみにしてます!
ポチ!
2009-07-21 Tue 17:01 | URL | misodrill #-[ 編集]
>misodrillさん
拍手有難う御座いますっ。前々から出そうと思ってたショウマの漸く登場です。ビンテージは逆に後半のクアントしか入手出来なかったんですよねぇ。続き、なるべく早くアップできるよう頑張りますー。
2009-07-21 Tue 21:04 | URL | ビンテージ #3fSe.YNE[ 編集]
うーむ。
オルガちゃん、シスターからレディへと、そういう設定でしたか?
なかなか深いぞ。(U_U)

ショウマも登場っすね。またまた拡がりが観られそうで
楽しみです♪
ってことは、ユメっちも絡んでくるのかな~♪♪
2009-07-23 Thu 00:35 | URL | Koduck #j5rAmYNA[ 編集]
>コダさん
シスターから変身する理由としてずっとこう考えてたのですが、ようやくその設定が生かせました。アサフォ、他の面子も登場予定ですー。
2009-07-24 Fri 13:55 | URL | ビンテージ #3fSe.YNE[ 編集]

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