ミクロの百日間戦争

ミクロマンやそれにマッチする小物類のレビューなどをつらつらと…

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スポンサー広告 |

アカツキの事件簿「死の旋律」3

5

前回はコチラから。

港に一つの死体が浮かび、その調査に乗り出すミッションフォース。それと時を同じくして、恨みを抱えた頼み金を受け取ったアサシンフォースはその恨みを晴らすべく動き出そうとしていた…。

6

「頼み人の名はミクロレディ・フジコ。始末して欲しいのはこの街に蔓延する魔の薬・アクロソーマの売人であるアクロイヤー・ザクロ。共同で売り捌いていた婚約者を殺された恨み…か」

卓の上に置かれた恨みのこもった頼み金。それを差し出しながら語られたユメの話を聞き終えたショウマが内容を確かめるようにボツリと呟く。ユメが裏を取ってきた話によると、その『フジコ』というミクロレディと殺されたトムリーというミクロマンは大層仲睦まじく暮らしていたようで、これからの将来を夢見た被害者はその怪しげな薬の売買に手を染めてしまったらしい。その結末が自らの命を失う結果になるとは思いもしてなかったのだろう。

「ま、そいつも幾ら金欲しさとはいえ、そんなモンに手ぇ出さへんかったら良かったんやけどな。言ってみりゃ自業自得やで。そいつらが組んで売った薬で泣かされたヤツやっておるやろうし」

「そうですけど…私が裏を取ってみたところ、彼は彼女のことを想ってこの仕事から足を洗おうと思っていたそうです。その事でザクロと口論となり、最後には殺害に到ったようですよ。それにザクロを野放しにしておけばこれからもその危険な薬が出回り続ける事でしょうし」

「ふーん。そいつを殺したところでトカゲの尻尾きりやと思うし、事態は変わらんと思うけどなぁ」

壁際に立ち、シニカルな意見を口にするキョウシロウとユメが口論となる。確かにキョウシロウの言う事も尤もであるが、ユメの言葉にも一理ある。暫し熟考した後に、『細工』を行う事に腹を決めたショウマはその旨を二人に向けて告げる。

7

「いいだろう…この細工、俺は引き受けた。キョウシロウ、オマエはどうする? どうやら乗り気じゃないみたいだが」

「まぁ乗り気じゃないっつーのもあるんやけど、実際のところワイ達三人で出張る程の大掛かりなもんや無いやろ」

「確かにな。今回の細工なら一人…バックアップを合わせても二人居れば充分だろう」

「せやろ? ならワイは今回は遠慮させてもらうわ」

軽く手を挙げて不参加の意を示すキョウシロウ。それに頷きを返したショウマはユメへ視線を移した。

8

「仕掛けは俺がやる。ユメにはバックアップを頼みたい。いいか?」

「はい、勿論です。ショウマさん達が引き受けてくれなければ私が一人でやろうと考えていたくらいですし」

依頼人の女の気持ちに絆されたのだろうか。ユメの頑なな言葉に苦笑を浮かべるが、その表情を引き締めるとショウマは厳かに言葉を紡ぐ。

「ヤツのヤサは抑えてあるんだったな。なら時間を掛ける必要は無い。…今夜、細工をする」






3

ガラガラと足元のガレキを蹴飛ばしながら、狭く入り組んだスラムの路地を俺達二人は歩いていく。バイクを飛ばし、スラムへと辿り付いた俺とオルガは埠頭での殺人事件を起こしたと思われる容疑者・ザクロを探していた。この辺りには不法滞在の者も多く、余所者に対しての警戒心は高い。
中には薬物の常習者や当局の取り締まりと勘違いして殴りかかってくるやつもいるから気を抜けない。それでも少しは話の判るやつを見つけながら情報を集めていくと、俺達は徐々にザクロの居場所を絞り込んでいった。

「それにしてもここいらの再開発も相変わらず進んでないな。他ブロックでは急ピッチで作業が進んでいるだけに、ますますここいらだけ取り残されちまってる…」

「…………」

他愛も無い口調で傍らのオルガへと話し掛けるが反応は無い。犯人が『キリエ』所属の売人である可能性が高いと知ってから、益々彼女の気は急いているようだ。それはそれだけ彼女の心の内を占める過去の忌まわしき記憶が強いという事だろうが、このまま突っ走らせると碌な事になりそうにない。俺は普段突っ走り気味の自分の行動を思い返すと、今更ながらにアレンさんに迷惑を掛けてきた事を実感する。

(はぁ…いつもアレンさんはこんな気持ちでいたのかな。もうちっと俺も反省しねーと。ま、それはともかく、今はコイツをどうするかだよなぁ…)

4

「オルガ」

「…はい。なんでしょうか?」

声音に含まれた声の堅さに気付いたのだろう。ビクンと小さく肩を震わせるとオルガは体ごと俺に振り返る。彼女の表情は正しく機械のようにクールに見えるが、その内側には彼女自身制御ができず振り回されてしまう情念が隠れているのだろう。俺はその内側に燃える炎を見やるように数瞬見詰めると、フッと息を吐き出して肩を竦めると、気の抜けた声で彼女に語りかけた。

「ちょっと肩に力入りすぎてるぜ。もっとリラックスしていこーや。ま、今までとは畑違いの任務を初めてこなそうとしてるんだ。緊張するのは判るけど、それだと肝心なとこでドジ踏んじまうぞ?」

「お言葉ですが私は初任務だからといって緊張していません。ただ純粋に、一刻も早く犯人を逮捕したいと考えているだけです」

「その言葉が肩に力入ってる証拠だっての。ま、確かに初任務ってのが力入り過ぎてる理由じゃねーのかもしんねぇけどさ」

「…どういう事でしょう? 一刻も早く犯人を逮捕したい。そう考えるのがおかしいでしょうか?」

オルガの言葉から頑なさは抜けない。自らの気が急いている事に気付いていないのか、それとも認めようとしていないのか。だがどちらにせよこのまま彼女が『キリエ』に対して強い妄執を抱いたままで捜査を続けるならば、いずれその事が彼女自身の足を引っ張り、手酷いしっぺ返しを喰らう事になるだろう。俺はその事をどう伝えるべきか悩んだが、彼女を諭せる良い言葉が思い浮かばない。仕方なく俺は腹を括って出来る限りのフォローをしていく事を決める。その間に彼女が自らの過ちに気付いてくれる事を祈りながら…。

「わかんねぇのなら、今はいいさ。ただ一つだけ覚えておいてくれ。オマエさんは一人じゃねぇって事を。オルガが『キリエ』と事を構える時、俺達も絶えず傍にいるって事を忘れないでいてくれや」

「……勿論、理解しています」

「それならよし。捜査を続けるぜ」

「了解です」

11

「フフ…計算通り、双方とも動き出したようね。あとは互いに喰い合ってくれれば…」

『キリエ』の地下基地のソファに銀色のボディを横たえながら、今回の事件を画策したミクロレディ―F2がほくそ笑む。ホタルミでXADOを誅した闇のアサシンフォース…彼らがこのシャングリラへと流れてきたというのは風の噂で聞き及んでいた。そして『キリエ』の作戦の障害物となりつつあるミッションフォースの刑事、アカツキ…。彼ら双方を排除する為に一計を案じたのが今回の作戦なのである。

実際にはフジコなどというミクロレディは存在しない。トムリーの身近な人間たちを買収し、さもそのようなミクロレディが居たように演出してみせただけの事である。詳しく調べられればいずれボロが出る事であろうが、彼らが衝突するまでの短期間だけ騙す事が出来ればいい。アサシンフォースはザクロが警察の手に落ちる前に行動を起こすであろうし、ミッションフォースは最有力の容疑者をまずは確保しようとするからだ。そうして彼らが互いにぶつかりあえば、決して交じり合う事の無い両者は闘う事になるだろう。後はそこに仕上げの一石を投じるだけである。

そしてアジトの扉がゆっくりと開かれ、彼女の待つ『仕上げ』が姿を現した。

12

「来たわね、アクロタロス。待っていたわ…」

そこに立つのは重い棺を引き摺りながら現れた鎧甲冑のアクロイヤー。喜びの声で出迎えるF2だが、兜の奥にあるその表情は窺い知る事は出来ない。その彼は、自らの目的以外には興味が無いようで、彼女と眼を合わせるなり一番の関心事を口にする。

13

「俺を呼び出したという事は、俺が『狩る』に相応しい獲物が居るのだろうな…」

「ええ…満足して貰えると思うわ。かのXADO一味を誅した闇のアサシンフォース…その頭目は類希なる剣技の持ち主だと言われているわ。それ程の男が持つ剣ならば貴方のコレクションに加えるに十分でしょ? その場に少しオマケが付くかもしれないけれど、貴方ならは問題無い筈だわ」

「…………」






9

夕刻。闇の帳が徐々に落ち始め、彼ら闇の者の時間が近づいてくる。ショウマは一人、彼らが『細工』をする際に使用する影の衣・シャドウファイテクターを身に付け、準備を揃えていた。

ふと、障子戸の隙間から空を見上げると血のように紅い夕焼けが見える。それはまるで己が歩んできた―そしてこれからも歩む―血塗られた道のようだとガラにも無い事を思い浮かべてしまうが、すぐにその感傷を振り払う。これから行う事は何も特別では無い「いつも通り」の事。そのいつもの仕事を行うのに余計な感傷は必要無い。この街で『細工』を行うのは初めての事だが、いつも通り淡々とこなしていけば良い。

10

刻限が迫る。彼は闇に溶け込むようにスラムの裏路地を行くと、標的の元へと足を運んでいく。するべき事に迷いは無い。影のように近づき悪人を誅する。それが自らに課した、彼の生きる道。いつかは地獄に到るであろう、悪業高き冥府魔道。

そして彼は目的の場所へと到達する。
―アカツキ達が現場に到着する、僅か数分前の事であった。

{続}

今回は主にアサシンフォースのターンであった「死の旋律」第三話です。次回はいよいよアクションシーンに突入予定。「死の旋律」は全五話の予定ですが、何とか11月中に終わらせたいなと思ってます。終わるかな?(汗

本日はアカツキの事件簿「死の旋律」3でした。
スポンサーサイト
フォトストーリー | コメント:8 | トラックバック:0 |
<<ムービーマスターピース マーカス・ライト | HOME | モビルスーツインアクション ガナーザクウォーリア>>

この記事のコメント

このコメントは管理人のみ閲覧できます
2009-10-25 Sun 14:05 | | #[ 編集]
ラスのショウマの出陣シーンが、雰囲気出てて良いですな~。仕事人のBGMが聞こえてきそう。
例の話、もう少しで一段落着くのでご連絡します。やっぱもう少し先になっちゃいそうですねぇ。
ポチ!
2009-10-25 Sun 14:36 | URL | misodrill #-[ 編集]
おお、やっぱりF2の策略でしたか。。。(U_U)
しかも、タロスまで投入してくるとは!

もー、次が待ち遠しいですねー。
2009-10-25 Sun 22:38 | URL | Koduck #j5rAmYNA[ 編集]
アソーカ・タノを弟子にしたことによって、無鉄砲な弟子を持つオビワンの苦労を知ったアナキンみたいだなぁ、アカツキ。

次回、アカツキとアサシンフォースが戦うことになるのかな? 期待です。ぽちっ!
2009-10-26 Mon 12:10 | URL | 永亭 #0W.95UrI[ 編集]
>鍵コメさん
ご連絡有難う御座いますー。折り返し連絡させていただきますっ。

>misodrillさん
拍手有難う御座いますー。仕事人、一番カッコいいのって出発のシーンな気がしますw こちらこそ遅々としたペースでご迷惑掛けて申し訳ありません;

>コダさん
全てはF2の謀ですw AFにMF、そこにタロスが絡んでの三つ巴な展開となっております。

>永亭さん
拍手有難う御座いますっ。エピソード1~3は見てないんですけど、何となく判りますw アカツキも漸く先輩としての苦労を感じられるようになってきました(笑
2009-10-26 Mon 17:05 | URL | ビンテージ #3fSe.YNE[ 編集]
面白いなぁ。様々な思惑が入り乱れて
かなりの大河ドラマになってきましたね。

全然関係ないですが、必殺好きとしては、
アサシンの三人が話すとこは、どっかの
屋根裏部屋か、寺の境内(笑)が好みでした
(無理言うな
2009-10-27 Tue 13:53 | URL | Gun0826 #t50BOgd.[ 編集]
ビンテージさん、お寺のプレイセット持ってましたよね、キリスト教の。人、それを教会と呼ぶ。http://micro100wars.blog114.fc2.com/blog-entry-457.html
アサシンフォースには、似合わない(笑)。
2009-10-27 Tue 23:07 | URL | 永亭 #0W.95UrI[ 編集]
>Gunさん
基本はMFvsキリエの構図の中でアサフォやフリーランスは第三極として関わってくる感じとなっております。悪の組織であるキリエの内部でも色々な動きが今後出したいなーと思ってますが。仕事人、お寺に集合ってイメージはビンテージも強いですねw

>永亭さん
流石にそれはアサフォには合わないですねw
2009-10-28 Wed 16:42 | URL | ビンテージ #3fSe.YNE[ 編集]

コメントの投稿















コメント非公開の場合はチェック

この記事のトラックバック

| HOME |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。