ミクロの百日間戦争

ミクロマンやそれにマッチする小物類のレビューなどをつらつらと…

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アカツキの事件簿「死の旋律」4

1

前回はコチラから。

逸るオルガに不安を覚えながら、アカツキはアクロソーマの売人・ザクロの元へと辿り付く。しかしそこにはキリエ幹部・F2の策謀により、闇のアサシンフォースも忍び寄りつつあった…。

ザクロの潜伏しているヤサを掴み、その廃工場に辿り付いた頃にはすっかり日は傾いて夕暮れから夜へと移り変わる時間帯だった。情報通りならばヤツはここに居る筈なのだが、時間を掛ければ動き出してしまうだろう。俺は携帯を取り出し、アレンさんに連絡を取ると確保する旨を伝える。

「アレンさん、ザクロのヤサに辿り付きました。これからオルガと共に確保に向かいます」

『…判った。警邏隊に連絡して検問の準備をさせる。我々も現在そちらに移動中だ。無茶はするなよ、アカツキ』

「了解です」

アレンさんの一言に、先程までのオルガとのやり取りを思い出して苦笑を浮かべながら携帯を切る。後は踏み込んでザクロをとっ捕まえるだけだ。俺はバントラインを構えると傍らのオルガに視線を向ける。彼女も銃を構えるとコクリと一つ頷いて突入OKの意思を示す。そして俺は短く吐き出すと、彼女に告げた。

「よし、行くぜ」

2

軽く確認を行うが入り口は施錠されておらず、警報装置などの仕掛けを施されている様子もなかった。俺達は音を立てぬように扉を僅かに開けると廃工場の中へと体を滑り込ませる。廃工場といっても区画整理でこの手の建物が工業ブロックに移行した為に使われなくなったというだけで、然程朽ち果てている様子は見当たらない。

オルガと二人並んで辺りを警戒しながら薄暗い廊下の奥へ向かう。廊下の窓から差し込む僅かな光を頼りに周囲を確認していくと、その廊下の先にある扉から灯りが漏れている事に気付いた。オルガも直ぐにそれに気がついたようで互いに視線を合わせる。

そして俺達はそろりそろりとその扉に近づき…その時、俺達の耳に予想もしなかったものが飛び込んできた。この廃工場に流れるには場違いなギターのメロディ…。哀切に満ちたバラードを奏でるような弦の旋律がその室内から流れ出してきたのだ。そしてその直後、工場内を苦悶に満ちた悲鳴が響き渡る。

「ウギャァァァッッ!!」

明らかに何らかの異常が、今この瞬間に行われている事を告げるその悲鳴。それを耳にした瞬間、俺たちは弾かれたように駆け出して扉の中へと飛び込んだ。

3

アカツキ達が廃工場に踏み込む数分前。人々を狂わす魔の薬・アクロソーマの売人であるザクロは一人苦悩していた。苦悩の種は幾つもある。このアクロソーマを売り捌かなければいけない事、しかしその販売ルートに協力してくれた協力者を自らの手で殺めてしまった事、そしてこの耐え難い魅力を放つ薬を手放したくないと思っている事であった。

そもそも、ケチがつき始めたのは協力者であるトムリーが急に足を洗いたいなどと言い出したからである。それまでは順調に商売を行い、組織の評価も悪くなかった。にも関わらずにこんなところで躓く結果になるとは。

…いや、薬を売り捌く事に反対したのは自分の方だったろうか? 考えてみれば当然である。これ程の至福を味わえる薬を、何故他人に供給しなければならない? それを無理にアイツが売り飛ばそうとしたから…だから…。

考えが纏まらない。頭の中に靄が掛かっているようだ。そういえば誰かが…売人であるからには、商品の品質は確認するべきだと囁いた気がする。誰だっただろうか? だがそれは問題では無い。確かに言う通りだ。優秀な売人ならば品質にまで拘るべきだろう。だから自ら試してみたのだ。

4

ザクロの思考は入り乱れ、最早何を悩んでいたのかすら朧になってしまう。その思考をクリアーにする為には手段は一つ。震える手に握り締めたアクロソーマに視線を落としてボソリと呟く。

「…これさえあれば…俺はのし上がれるし…天国にもいける…。悪いな、トムリー…地獄には一人で落ちてくれ…」

5

『…謝罪の言葉は必要無いわ。だって貴方が逝くところも地獄なのだから。魔の薬に手を出し、仲間を殺め、そんな貴方に天国の門が開くと思って?』

一瞬幻聴かと思った。ザクロの囁きに冷水を浴びせ掛けるような冷ややかな響きで女の声が応える。散逸しかけていた思考が纏まり、ザクロは慌てて銃に手を伸ばしながら立ち上がる。

「だ、誰だっ!」

背後に誰か居る…。その廊下の物陰に今確かに誰かが立っていた。薬の見せた幻覚かと一瞬いぶかしんだが、ザクロは恐る恐る銃を構えたまま廊下を覗き込もうと近づいていく。

1

ジャラン。

突然近くで鳴ったその音にビクリとしながらザクロが振り返ると、いつの間にか一つの人影がそこに現していた。外套に身を包み、手にはギター。奇妙な出で立ちをしたその男は、振り向いたザクロに構わず無言でギターを奏で始める。

「だ、誰だ……何をしてやがる……」

先程と同じように誰何の言葉を投げ掛けるザクロ。えも知れぬ威圧感を男から感じて震えながら口にしたその言葉に、男は視線を伏せたまま弦を弾いていくと漸く口を開く。

「安心しな…お代は既に頂戴してある。こいつは鎮魂歌だ……殺されたトムリーと、これから同じところに落ちていくアンタへの手向けのな…」

そして、廃工場に悲鳴が響き渡った。

3

俺とオルガがその部屋に飛び込んだ時、全ては終わっていた。既にギターの旋律は無く、室内には沈黙だけが残っている。

その静寂の室内に立っていたのは外套に身を包んだ一つの人影。そしてその足元には、うつ伏せに倒れた一人のアクロイヤー。既に事切れている様子だが、あれがザクロか…?

5

倒れ伏したアクロイヤーの傍らに立つ男の手には何か握られている。部屋の灯りを鈍く照り返すそれは刀だろうか。オルガはそれを見て取るとすぐさま銃を向けて鋭い声を飛ばす。

「動かないで! 手に持っているものを床に捨てて、ゆっくりとその外套を脱ぎなさい。奇妙な動きをすれば即座に発砲します」

オルガの警告に男が僅かに振り返る。その時、部屋の脇にあった廊下を誰かが駆け抜けていった。ちらりと見えた後ろ姿からするとミクロレディか? この男か、もしくはザクロの協力者か…ともあれこの現場の関係者である事には間違い無い。俺は咄嗟に判断すると男に銃を向けたままオルガに指示を下す。

「オルガ、追え!」

「了解っ」

6

「さて、聞こえただろう? 手に持ってるものを捨ててゆっくり振り返るんだ。おっと、その前にそのマントみたいのは脱いでくれ。それ着てると下で何されてても判り難いんでな」

不審なミクロレディを追うオルガの姿を目の端に納めながら、改めて警告の言葉をその男に掛ける。しかし男は首だけ微かにこちらを向けた姿勢のまま微動だにしない。

次第に緊張感が高まってくる…。どうやら素直にこちらの言う事に従う気は無い様子だ。

2

次の瞬間だった。片時も目を離す事無く見据えていた俺の眼前で、身に纏っていた外套だけがパサリと床に落ちると忽然と男の姿が消え失せる。まるでマジックでも見せられたような感覚だ。

「なっ!」

思わず数歩踏み出して男の姿を確認するが確かに居ない。まるで影に溶け込んだように見えなくなってしまった。だがこの部屋から姿を消したという訳では無さそうだ。それを証明するかのように首筋にゾクリとした感覚が走り抜ける。 

3

咄嗟に膝をつくようにして身を屈めると、今俺が立っていた場所を閃光が駆け抜けていく。いつの間にかバックに現れたヤツの剣がその空間を切り裂いたのだ。

あの感覚―死の気配を感じ取る超感覚『アウェーネス』―が働いてくれたお陰で何とか交わす事が出来たが、逆にいえば相手の剣筋は俺の能力が働くくらいの必殺の一撃。その切っ先の鋭さは確実に俺を死に追い込もうとしている…。

4

「このヤロッ!」

膝を基点にして俺は体を独楽のように回すと相手の足元を薙ぐ。しかし相手はまるでそれを読んでいたかのように軽々と飛び退って避けてしまう。プロテクターのようなものを着込んでいるくせに身軽なヤツだ。だがこれでヤツにも少しの隙が出来る筈…体勢を立て直す事が出来る!

5

俺は足払いの勢いを借りて素早く立ち上がるとバントラインの銃口をヤツに向けた。だがその瞬間には着地したヤツが俺に向かって踏み込んでおり、逆手に構えた刀で斬り付けてくる。

…速いっ! 

予想を遥かに上回る神速の切っ先に驚きを覚えながら、兎に角間合いを大きく離そうと後ろに跳躍する。だが狭い室内…俺の跳躍した先には壁があり、そこには荷物が集積してあった。俺はその荷物の中に自ら飛び込んでしまう。

6

ガラガラガランッ!

「アイテテ…」

華麗な跳躍で俺の攻撃を交わしたヤツとは違い、無様に尻餅をつきながらどうにか間合いを離した。辺りに荷物を散乱させちまったが、これで漸く相手を正面に見据えられる。そうして相手の姿を捉えた俺の前には、どこかで見覚えがある顔が立っていた。

1

「オマエ……あの時の…」

一瞬どこの誰かを思い出すのに時間が掛かった。だがその左腕に構えたギターを見た時にそいつの事を思い出した。ザクロが殺されたその現場に立っていたのは、あの弾き語りの男だった…。


{続}

アカツキvsショウマの対決となった「死の旋律」第四話です。ビンテージのイメージの中では本家ミクロの中でジンとショウマが剣での戦いのツートップかなと考えてます。対してアカツキは銃の腕前はあるのだけどこの間合いだと良いとこ無しですね(笑

次回で「死の旋律」は終結する…予定ですけど上手く行くかな?(汗) 本日はアカツキの事件簿「死の旋律」4でした。
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この記事のコメント

おぉぉ。見応え、読み応えあります!
ショーマ、強ぇー!

いやいや、シリアスな展開にちょっとハラハラしながらも、
ユメちゃんのセリフを生で聞きたいなと思ったり。。。(^_^;

続きがめっちゃ楽しみです。
2009-11-08 Sun 00:12 | URL | Koduck #j5rAmYNA[ 編集]
緊迫の展開ですね1アクションシーンが凄くイイです!
ザクロはザクレロを連想してもっとヘンな格好かと(笑)。被ってるのは何ですか?
ポチ!
2009-11-08 Sun 14:21 | URL | misodrill #-[ 編集]
>コダさん
ショウマ、かなり強キャラでイメージしてますw ユメは今回バックアップだったので活躍の機会はまた今度ですねぇ。次回も楽しんで戴けるよう頑張りますー。

>misodrillさん
拍手有難う御座いますー。アクションシーンになると途端に文章量が減ってしまうのでその点が要修行だなあと思ってます。ザクロが被ってるのはG.I.JOEのヘルメットを後ろ前にしたものですw
2009-11-08 Sun 18:59 | URL | ビンテージ #3fSe.YNE[ 編集]

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