ミクロの百日間戦争

ミクロマンやそれにマッチする小物類のレビューなどをつらつらと…

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アカツキの事件簿コラボSP「CROSS×MISSON」5

1

*前回はコチラから。
*今回のストーリーはmisodrillさんの「玩具劇場ガンバランス」様とのコラボストーリーとなっております。そちらも合わせてお楽しみください。ホタルミSIDEの話はコチラとなります。

賞金稼ぎのディーン、そしてサイフォースのナギサニアニアから逃走していた実験体203号はシャングリラへと辿り付く。そしてシスター・エマの聖ソロモン教会へと逃げ込むと、そこで立て篭もり事件を起こしてしまう…。

大事になっちまった…それが今回の事件に対する、俺が最初に抱いた感想だった。教会から姿を現した異形の生命体はシスター・エマを人質に取ると再び教会の中へと戻っていってしまう。用心して近づいたつもりだったが、どうやら感覚器が通常のミクロ生命体とは違っていたようだ。あの外見からするとアクロイヤーである可能性も充分あり得る…。どちらにせよ俺のミスである事は間違い無い。

そのミスを償う為にもすぐさま手を打ちたかったが、何せ相手は鋭敏な感覚の持ち主…人質をとられている以上、迂闊な真似は出来はしない。そしてこの一件は既にM.I.C.R基地へ通報がいっていた為、程無くしてミサリー・ディートン・オルガといったMFの仲間達や一般ポリス達も駆けつける。まさに御用提灯十重二十重の状態だ。

「…相手が何者であるか判らない以上、あまり刺激はしたくないな…」

押し黙ったまま教会を見詰めていたアレンさんがボソリと呟く。アクロソーマの中毒者ではないか…そう口にしようとしたが、何か証拠があるわけでもない…決め付けるのは早計だろう。背後でオルガがミリタリーフォースに包囲の指示を飛ばすのを聞きながら、俺もアレンさんの隣で黙ったまま教会を睨みつけた。

持久戦になりそうだな…焦れた気持ちのまま教会を見詰め続ける。こういう事案に対してはネゴシエーターが当たる事になっている。MFの基礎プログラムでは粗方の事は叩き込まれるので俺もネゴシエイトのレクチャーは受けているが、肉体労働が得意な俺としては…正直、性に合ってない。早い話が不得意科目ってやつだ。

逆にアレンさんはこういったケースを幾度も処理しているので、今回みたいなケースでは兎に角アレンさんの指示があるまで下手に動かないようにしている。だが今回は未だアレンさんは何も指示を出そうとはしない。恐らくは犯人からの何らかのアクションを期待しているのだろうが、もしかしたら…人質がシスター・エマであるという事がアレンさんにとって幾許か判断を鈍らせる事になっているのだろうか? そんな懸念も脳裏を過ぎってしまう。

「あの、アカツキさんっ」

「ん? どした?」

そうして焦れた時間だけが経過しようとした矢先、ミサリーから声を掛けられる。彼女は仕切りと包囲網の外に注意を向けながら用件を伝えてくる。

「一般の方には充分な距離を置くように下がって貰ったのですが、その中で一人、どうしても現場へ入れろと言っている人がいるんですぅ。なんでも賞金稼ぎの方だそうですが…どうしましょうか?」

「賞金稼ぎ?」

言われて直ぐにピンと来るものがある。この教会に来る直前の事だっただけに、そいつの姿が真っ先に浮かんだ。そしてすぐさまミサリーに案内させると、案の定そこには赤いジャケットを着たあの賞金稼ぎ…バウンティーハンター・ディーンの姿があった。

6

「あ、アイツは……。グッ、やはリ…追いかけてきたのカ……」

巨大な一つ目で窓から外を窺う異形の生命体―実験体203号は苦々しい声で呟く。『あの』忌まわしい場所から命からがら逃げ出し、どこか安全な場所を求めて彷徨っていた彼を、程無くして赤衣の狩人が執拗に追い掛け回し始めた。幸い鋭敏な感覚が植え付けられていた彼は今までどうにか狩人の襲撃を凌いできたが、鬼蓮街で遂に捕捉され、そして追っ手は遂にこのシャングリラにも姿を現した。その執念の前に、最早彼の精魂は尽きようとしていた。

あの赤い狩人が現れたという事は、もう一組の追っ手…偶然にも敵と判らぬまま遭遇した少女達もここへとやってくるのだろうか? 狩人が現れて逃げ出す最中、状況が混乱していた為にその後彼女達がどうしたのかは彼には判らない。ただ、一瞬でも心安らげると思えた相手が追っ手であった残酷な現実と、その追っ手の一人であったナギサという少女が自らの身を挺して狩人の銃弾から庇ってくれた事実が、彼の心を締め付けていた。

1

「ムッ!」

背後で動く気配を感じて振り向き様に腕の刃を突きつける。そこには勢いで人質にしてしまったこの教会の住人、シスター・エマが立っていた。人質にとったとはいえ縛りつけるような真似はしていなかったが、勝手に動き回られるのは困る。実験体は苛立たしげに声をあげてシスターを恫喝した。

「動くナ! ジッと、していロッ!」

「どうして…このような真似をなさるのですか?」

しかし、喉元に刃を突きつけられながらシスターはたじろぐ事無く実験体を見詰めて言葉を紡ぐ。その恐れる事無い態度に更に苛立ちを増しながら、実験体は言葉を返した。

「う、うるさイッ! オマエにハ、関係なイッ!」

「関係無くはありません。私は今、貴方の人質になってるのですよね? でしたらば無関係な立場ではありませんし。それにここは教会です。悩みを持ち、救いを求める者が現れたなら、その方を救ってあげたい…。その為に、教会はあるのです」

「…………」

「教えてください。どうして、ここに来られたのですか? 貴方は、何に苦しんでなさるのでしょうか…?」

2

「アレは俺の獲物だ…。誰にも譲る気は無い…入らせて貰うぞ」

バウンティハンター・ディーンの元へ赴くなり、開口一番告げられたのがその言葉だった。流石に聊かカチンときた俺は腰溜めに手を置いてディーンを見据える。

「そんな訳にいくかよ。この街の治安を護るのが俺達の仕事だ。勝手な真似を許す気は無いぜ」

「こいつは正規の依頼だ…俺の仕事を邪魔する気か?」

「ならその依頼内容について教えろって。事情を一切話さずに現場に入ろうなんて虫が良すぎるぜ、大将」

「…………」

初めて会った時と同様、依頼の内容については堅く口を閉ざすディーン。その態度に辟易していると、いつの間に来たのか俺の後ろに立ったアレンさんがディーンに問い掛けた。

「正規の依頼、と言ったな。依頼主はM.I.C.Rという意味か?」

「…好きに解釈しろ」

「話せる限りでいい…何か知っている事を教えて貰えないか? こちらは相手に対して全くカードを持ってない状態でな。どんな情報でもいい…聞かせて貰えると、助かる」

いつもと変わらぬ落ち着いた抑揚のままアレンさんが問うた。問われたディーンは暫し何か逡巡するように押し黙ると、仕方ないといった様子でその問いに口を開く。

「…実験体203号。それがヤツの呼称だ」

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「実験体203号…それがオレに付けられた番号だっタ…」

「番号…名前では無く…」

一時の激情が通り過ぎて力無く床に腰を下ろした実験体203号は、独り言を呟くようにポツリポツリとシスターへと自らの生い立ちを漏らしていく。それは、ミクロマンの起源から列なり現在まで続く、ミクロマンとM.I.C.Rの、言わば陰の歴史を語るものであった。

Drシルバーによって創られた人類を死滅へと追い遣る程の猛毒ウィルスをバラまく生命体兵器・アクロイヤー。それに対抗するようにDrバーンズによって産みだされたミクロ生命体・ミクロマン。ミクロマンもアクロイヤーも、共に等しく人類によって兵器として造られた悲しき存在であった。

その『ミクロ兵器戦争』より二年。人類によって産みだされたものとは別種の、宇宙より飛来してきた生命体―アクロエンペラーを頂点とした古代アクロイヤー達との戦いが勃発する。その過程でミクロマン達は思いがけぬ形で『人権』を手にする事となった。

しかし、そもそもが産み出した者と産みだされた者。同じ人類であっても差別や諍いが無くならないのに、別種の知的生命体同士の交流に軋轢が生まれぬワケが無く、彼らを依然として人類の隷属的存在として認識する者達も少なからず存在した。また、人類と同等以上の判断能力を備え、様々な兵器を扱う知能を持ち、小型生命体であるという使い方次第では圧倒的なアドバンテージを得る事が出来るミクロマンの兵器としての有用価値は高く、突然決まったミクロマンの人権確立に際しても、それら財産とも言える存在を全ての者が速やかに手放す事が出来た訳ではなかった。

実験体203号が産まれたM.I.C.Rの実験施設では上層部の判断に表向き従い、既に成熟していた生命体は全て解放、未だ生命としての形を為してないものは「死産」という形で廃棄される事が決まった。こうして200番までの実験体は全て施設から姿を消した。

だがほんの一部だけ…その後も彼らによって実験を続けられた者達が存在していた。それが実験体201~205号の五体である。彼らはその存在を外部に秘匿されたまま、兵器としての価値をより追及されていく。その結果202号と205号は死亡。201号も廃人同然となってしまい遠からず廃棄は確定的であった。残された二つの実験体のうち、もう一つの実験体・204号についてのその後は判らない。ある時を境に別々な場所で実験を行われるようになったようで、今も生きているのかどうかすら知る術は無かった。

自らの体を刻まれ、弄くられ、一つの命として見られぬ事無く実験兵器として扱われる日々。その果てにある唯一の安息は死だけという現実。実験体203号はその時全ての希望を放棄していた。

だが、そこに転機が訪れる。

2

「あの日…施設の中ハ、騒然としていタ…。ミンナ、浮き足ダっていタ。今にしテ思えバ、204号…彼が脱走ヲ図ったのダと思ウ…。オレの目の前ニ道が開かレ、突然『ニゲなけれバ』という衝動に駆られタ。後は…無我夢中だっタ…」

「…………」

「道を塞ごうトしたのハ、オレと同じように奴らに創らレながラ、自由を手にすル事ができタ連中だっタ。皆、オレを化け物のようニ見ていタ。当然ダろウ…こんな姿ナのだかラ…。オレは、連中を振り切リ、施設を飛び出シ、そしテ……」

3

苦しげに自らの辿ってきた過程を呟き続ける実験体203号。その、何者の手を取る事も出来ぬ刃と化した手をそっと包み込むようにして、エマは優しく宥めるように言葉を掛ける。

「もういいです…何も仰らなくて構いません…。貴方の苦しみは、想像を絶する程のもの…。それ程までの痛みを携えてここに来られたなんて…」

「俺…ハ……」

「事情は理解致しました。貴方がとても困難な状況になっているという事も。どうか私に…貴方を救う、手助けをさせてくれませんか…?」

エマの言葉に一瞬救いを求める眼差しを見せてしまう実験体。しかし直ぐに頭を振ると、己の手を取るエマの手を強引に振り払う。

「ヤ、ヤめて…おケ。もうイイ…。ココまで逃げてきテ判っタ。追っ手は他ニもいル…。ドこへ逃げてモ、アイツらからハ逃げられなイ。最後に話を聞いテ貰っタ…。もウ、それだけでいイ……」

「駄目ですっ。諦めては駄目です! 貴方には、何も罪科も無いではないですかっ。貴方の事情を聞けば、きっと救う為に手を貸してくださる方々がいます。どうか諦めないでください!」

「…………」

「お願いです。どうか、私を信じて…」

5

「名前は実験体203号。元々はアクロイヤーの実験施設で産み出されたもので、その後M.I.C.Rに捕らえられていたが脱走…その危険性故に賞金が掛けられた、と。思った以上にトンデモねぇ奴だったんだな…」

情報を手に入れる為に、捜査の協力者という形でディーンを現場を招き入れて話を聞く。そして聞かされた内容は俺が予想していたものよりも悪い話であった。思わずバントラインを握る手に力が篭ってしまう。

「生死問わず…。その危険性につき一刻も早く対象を捕獲または排除する事。それが俺の受けた依頼だ」

「…………」

ディーンから伝えられた情報を吟味するようにアレンさんは無言で何かを考えている様子。その隣で俺は、そんな凶悪なアクロイヤーとシスターが一緒にいる事が気が気でなく、思わず急いた目でアレンさんからの指示を欲するが、アレンさんから具体的な指示が出る事は無い。そうこうしていると何か動きがあったようで、オルガが低く鋭く声をあげる。

「教会から誰か出てきます!」

3

教会の扉が開き、中から姿を現したのはシスター・エマだった。良かった…取りあえずは無事の様子。犯人―実験体203号はどうやらシスターの背後に居るようだ。そしてシスターは口を開くと、恐らくは犯人に言わされているのだろう内容を、少々場違いとも思える程に丁寧な口調で伝えてきた。

「皆様、ご迷惑を掛けて申し訳ありません。犯人さんからの要望をお伝えします。犯人さんはお話をしたいとの事で、ミッションフォースのアレン刑事に来て欲しいとの事です。その際、申し訳ありませんが武器などを所持なされませんように仰ってます。どうか宜しくご検討をお願い致します」

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扉は直ぐに閉ざされて、シスターの姿は見えなくなってしまう。そして俺は犯人の要求に言葉を失いながら、ゆっくりと傍らの相棒に視線を移してその名を呟いた。

「アレンさん…」

「…行くしかないだろうな」

{続}

本日は「CROSS×MISSON」の第5話です。漸く実験体の素性が明かされましたが、今回はM.I.C.Rの暗部といったお話になってます。ディーンは嘘をいっている訳ではなく、彼が聞かされていた依頼内容が嘘だったという事です。果たして真実を知った時アカツキたちは…。話のペースがどうにも上がりませんが、最後までお付き合い戴ければ幸いです。

次回は…予定通り10日後にUPしたいのですが、実は家庭の事情でブログ更新を少しお休みする事になるかもしれません; コラボの最中なのにmisodrilさんにも申し訳ありませんが、出来る限り休まずに続けられるようにしたいと思っております。曖昧な状況で申し訳ありません~;;

本日はアカツキの事件簿コラボSP「CROSS×MISSON」5でした。
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この記事のコメント

おー、いよいよ謎があかされてきましたね。

にしても、M.I.C.R.の暗部とか、、、、
深いなー。(U_U)

ディーンとアカツキとアレンさんの3ショット、いいですねー。
アレンさんとディーンは、任務とか抜きにして良き友になりそうな印象ですが。。。

さー、次回はエマさんとアレンさんの○れ場ですね>ぉぃ

更新はごゆるりでいいじゃないですか!
2010-03-18 Thu 00:41 | URL | Koduck #j5rAmYNA[ 編集]
実験体の過去がついに明かされましたか。
光あれば影有り。組織も一枚岩ではないのでしょう。
真実を知ったアカツキ達は一体どうするのか??

…気長に待ちますよー。
2010-03-18 Thu 09:04 | URL | かるる~ #7qy4PQE2[ 編集]
おお、ついに実験体さんの秘密が!これはいずれ204号の登場も期待して良いんでしょうか。
更新は、ご家庭の事情を優先してください。
ちょうど、ストーリーの中の時間軸的には、こちらの事件の方が先に終わってるはずですし、そういう意味でも問題ないと思います。
ポチ!
2010-03-18 Thu 17:31 | URL | misodrill #-[ 編集]
謎が明からかになりつつある、読ませる展開ですね。
文章と画像、両方で魅せられます^^

お互いのキャラがリンクした構成はワクワクさせられますです。
ぽち!
2010-03-19 Fri 00:52 | URL | mrボンクレー #-[ 編集]
>コダさん
ディーンとアレンは…うーん、相性どうでしょうね? 今は大人しく見えてディーンはその実、狂犬キャラですからw 

>かるる~さん
M.I.C.R…ひいては人間とミクロマンとの在り方についてはアカツキの事件簿では話のテーマの一つになってます。今回はその転機の一つですね。

>misodrillさん
拍手有難う御座いますー。204号、もしかしたら…? 本当ご迷惑掛けて申し訳ありません。可能な限りは今のペースを続けていこうと思いますっ。

>ボンクレーさん
今回はちょっと焦り気味に書いたのでもう少し加筆したいなーとか思ってる部分もあったりします; 今ワイラーが向こうに出ていますが、コラボパートはまだあったりするかも…w
2010-03-19 Fri 19:19 | URL | ビンテージ #3fSe.YNE[ 編集]
兵器として生み出された生命…。そうか、200Xの
設定ってそんな感じでしたっけ。んじゃ、人格なんか
与えなきゃいいのに。こ~ゆ~キャラはなんとか
助けてあげたいですねぇ。アレンさんに頑張ってもらわなきゃな~。
2010-03-20 Sat 21:55 | URL | 六畳一間 #WzzJX4NY[ 編集]
>六畳さん
200Xはこういう設定なんですよねぇ。ちょっとこの設定が枷になっている気もして、コミック版でも色々と矛盾が感じられました。皇帝戦の後も隷属的に…ってのはメディカルフォースの辺りを読んでそんな印象を受けましたね。
2010-03-22 Mon 14:02 | URL | ビンテージ #3fSe.YNE[ 編集]
鬼蓮街側のストーリーが動ならシャングリラ側は静、でしょうか。
緊迫した状況がひしひし、伝わってくるのです。

そしてやっぱり人間が絡んでくると大変な事になりますよねぇ…
204号さんが今後日の目を見る事は有るのかどうかっ。

その辺も気になりつつ、また次回を楽しみにっ。(ぐぐぐ。)
2010-03-23 Tue 05:09 | URL | YUKI #a.FsQ20E[ 編集]
>YUKIさん
今のところまだ動きが少ないですねぇ。そのうち「動」のシーンも出てくると思いますが; 204号…果たしてどうなっているのか。いずれ語る日が…くればいいなぁ(汗
2010-03-23 Tue 16:29 | URL | ビンテージ #3fSe.YNE[ 編集]

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